エコフロンティアに聞く                 GreenArchit,Tribune2004-3-24

屋上・壁面などの建築緑化から植物の生産・レンタル・卸業・にいたるまで、緑化事業を幅広く展開するプラネット。同社が手がける緑化はすべてハイドロカルチャー(礫耕栽培)をベースとしており、建築緑化の分野で新たなビジネスモデルの構築を目指している。同社大林社長に、現在の取り組みやコンゴの方針などを聞いた。

---建築緑化分野に取り組んだきっかけは。

大林

 私は農家出身で、ヨーロッパからハイドロカルチャによる植物生産技術を取り入れ、バイオテクノロジーを駆使した組織培養や植物向上の展開などを目指していた。これをベースに平成2年に生産から施工までトータルで行う現在のノウハウを屋上緑化などの建築緑化分野にも応用することになった。

---ハイドロカルチャーによる建築緑化のメリットはどのようなところにあるのか。

大林

 建築緑化の分野では、ハイドロカルチャーを取り入れたコンテナガーデン「テラポニックシステム」を展開しているが、一番の強みは水管理が楽という点である。
 緑化基盤に用いている「テラトン」は、粘土を高温焼成した無機質状の発泡煉石で、多孔質構造のため適度の水分と空気を保持することが出来、植物の根に理想的な水分や栄養分、空気を与えられる。プランターの底面に貯水し、底面給水方式で効率的な灌水を行えるため、雨水を有効利用できるのが特徴。さらに、雨水や灌水による余分な水は自動的に適正レベルまで排水する仕組みだ。
 このシステムを用いることで、屋上緑化において懸念されている雨水、農薬、肥料の流出問題なども解消でき、底面給水で植物を常に蒸散させることができるため、ヒートアイランド緩和の観点からも有効といえるだろう。
 また、コンテナガーデンをさらに発展させる意味で、専用プランターを使った組み合わせ植栽「コンポガーデンシステム」を開発し、屋上やベランダ向けの新たな庭園施工の提案をしている。
 これは、上下左右の組み合わせで、スペースに応じた様々な植栽パターンが可能になるもので、移動やレイアウト変更も容易に行えるだけでなく、植物ごとに交換スリーブが付くため、カセット交換による季節の演出が楽しめる。
 施工面においても、システム自体が軽量で、特別な防水処理も必要としないため、既存建物に対応できるのも強みだ。
 この4月からは、このコンポガーデンシステムの特徴を活かし、屋上と室内の緑化を効率的に循環させる仕組みを構築したいと考えている。

---具体的には。

大林

 先述したように、同システムはカセット式に植物を交換できるため、ビルの室内から屋上、外構にいたる植物を自由に入れ替えることが可能で、1つの施設内で四季の変化のある植物を室内と屋上に循環させることが容易にできる。
 この考えは、とくにレンタル植物に有効だ。
 一般的なレンタル植物の場合、ビルからビルへ定期的に交換させる過程でストレスが生じ、植物が弱ってしまい、廃棄物を出すことが多い。
 また、搬入出時には当然トラックを使うことになるため、排ガスや排熱による環境負荷を与えているのも事実だ。
 当社としても、都市の環境改善に貢献するはずの植物が、逆に環境負荷を与えてしまっている現状を見過ごすことはできず、全社員でこれからの都市緑化の在り方について徹底的に議論し、3年前には環境ISOも取得した。循環型緑化システムのアイデアは、こうした背景から生まれたものだ。

---メンテナンスの重要性についても日頃言及されていますが。

大林

 コンゴ都市緑化を本格的に普及させるには、いかに安いコストで効率よくメンテナンスを行うかが重要な課題になると考えている。
 都市における屋上緑化の植物はビル風、コンクリートの幅射熱、日照変化など、常に過酷な環境下に置かれている。
 そうしたなかで植物を良好に維持していくためには、それなりのメンテナンスフォローが必要だ。
 そこで、地域に住む人たちが都市緑化のメンテナンスの主役になり得ないだろうかと考えた。専門の業者がわざわざ遠方から通ってくるのではなく、植物好きな地域の主婦などが専門知識を習得し、自分の担当するビル全体の緑化メンテナンスに当たる。
 植物のケアは園芸療法の一環にもなるので、お年寄りや障害を持つ方に参加してもらうのも有効だ。植物が元気になれば人も元気になる。
 なにより、地域ごとにメンテナンスできる仕組みができれば、コンゴ、都市緑化全体の発展に繋がるはずだ。
 そこで、昨年11月にNPO法人エコグリーン協会を発足し、この取り組みに賛同する会社や個人を募集している。すでにスクールを開講し、人材育成の取り組みをスタートしており、グリーンメンテンスマスター、グリーン・ケアマネージャーなど独自の資格制度の構築を目指している。

---御社としてのコンゴのビジョンは。

大林

 一番の柱は、「コンポガーデニングシステム」による循環型の緑化を普及させること。
 しかも、屋上緑化に関して言えば単に装飾的なものでなく、果樹や野菜、切枝、切花にできるような植物を取り入れ、その地域のなかで消費させる仕組みを構築したい。つまり、屋上のファーム化であり、「スカイファーム」の名称で今後展開を図っていく考えだ。
 また、営業面ではこれまで東京、名古屋、大阪を中心に事業を進めてきたが、今後は各都道府県の事業者と提携し、フランチャイズ的な形で植物の生産・物流を含めた拠点を設けていく構えでいる。第一弾として、今年3月に「プラネット沖縄」を立ち上げた。屋上緑化の施工事例もいくつかあり順調な滑り出しだが、まずは沖縄地区でしっかり実績を積み、一つのプロトタイプをつくったうえで全国展開を図りたい。
 さらに、中国、上海でも、現地の事業者と提携関係を結び、地被マットなどをつかった建築緑化事業のほか、ハイドロカルチャー植物の生産を手掛けている。上海市は富裕層も多く、近代化が進む中で、建築緑化はこれからおおきなマーケットが見込めるだろう。
 今後、ハイドロカルチャーによる緑化の認識を深め、さらに広めていければと思う。